イロメ

 中秋の名月。みなさんはご覧になりましたか? もうすっかり秋ですね。
 めまいの病気が良くならないので、パソコン絵はお休みしていますが、せめて『ひと月に一度は更新!』を目標に、今回は久々にBL漫画の感想文です。
 草間さかえ先生の新刊です。高校生がいっぱいです。もちろん素敵な先生も登場します。
 この作品でも、文句なく“メロメロ”にされてしまいました〜。

 「やっぱり夏は高校生だね♥」と勝手にキャッチフレーズを付けさせていただきました(8月15日発売)が、もはや秋です…。
 光陰矢のごとし、恋せよ高校生〜!!(大丈夫か、あたし…)ってことで ——



イロメ (ディアプラスコミックス)
草間 さかえ / / 新書館
スコア選択: ★★★★★

My Favorite Comics.


 とある高校の校舎の中で、密かに進行する四つの恋の物語です。先生と生徒、先生と卒業生、先輩と後輩、幼馴染みの同級生。
 作品としては六つ。うち一つは書き下ろしです。どれも粒揃い。私のお薦めは…




 やはり『カオス』でしょうか。まあ、ここは焦らず表題作の『イロメ』から。
 とても短いお話です。故にダイレクト。
 いっ、いきなりですか(笑)!の展開です。こちらで登場するメガネ教師、野田先生が『カオス』では狂言回しの役割を果たします。
 読み切り連作という事なので、全ての作品を通して登場する人物はいないのですが、少しずつ関係しています。その登場の仕方もとても良いんです。思わずニヤッとさせられます。
 さて、『カオス』ですが、この“カオス”“フラクタル”という二つの言葉がキーワードです。『初恋の死霊』の時も唸ってしまいましたが、草間先生はこうしたモチーフの選び方が非常に巧みで引きつけられます。

 このお話の主人公、生徒に人気の白川先生は優しげな男前ですが、どこか冷めた考え方の持ち主です。繰り返される生徒の告白に、決まってこう答えます。
「背が伸びてここを卒業して大人になった時にもう一度おいで」、その頃には心変わりしているさと。
 そんなある日、言葉通りにでっかく成長した卒業生、壬生谷(みぶや)が現れて動揺しまくります。かつての自分を見ているような壬生谷の存在を「俺は間違っていない」と否定します。
 それは何故か……続きは是非、読んでみてくださいね。
 
 考えてみれば、学校というのはちょっと特異な場所ですね。入学して来た生徒たちは、同じ制服を身に着けて決められたカリキュラムをこなし、三年経つと卒業して行きます。毎年毎年それの繰り返し…、これもフラクタルですよね。
 でも、生徒は一人ひとり違います。毎度同じように見える学校生活も、全く同じな筈がありません。
 『イロメ』の素直で可愛いけれど、創立以来の◯ホという桃や、『花いちもんめ』の妹が三年生(!)という二十歳の二年生森崎も、カオスに成りうる要因を持った生徒だと思います。

 初めはどうしてこんな意地の悪そうな白川先生を、かわいい、かわいい(ほんと〜にカワイイ!)壬生谷が好きになるのか分かりませんでしたが、まぁ、白川先生も負けず劣らず、意地っ張りで乙女な可愛らしい人なんですね(笑)。
 好きな人の言った言葉を信じて努力した結果が裏目に出る。しかもそれが、今度はコンプレックスになったなんて、そりゃ、イジケてしまいますよね。
 そんな二人をそれとなくフォローするのが、生徒の評価は散々で唯のエロ イロメガネ(by 桃)”かと思った野田先生で(笑)、これが見掛けによらずロマン(?)と男気にあふれた、生徒思いの素敵な先生です。白川先生と野田先生の掛け合いもとても面白いです。
 愛の告白も「分かり易く」言えない(出来ない)意地っ張りな先生二人にも、こんな素敵な“カオス(生徒)”との出会いがある。
 学校って良いですよね〜。嗚呼、羨ましい…。
 最後の書き下ろし『先生の写真』まで大満足の一冊です。幕間漫画も楽しいです。是非、ご覧になって見てください。



a0095010_2130830.jpgMy Favorite Words.
『あー……まあ、恋愛の基本ですよね』
「あつくてつめたい」P.88 より「小野崇」の台詞


 幼馴染みの光彦の気持ちを知ったナオシが、自分がしている行為が「キレイ事のおためごかし」なのか? と喚きます。
 喚かれた相手、肝の据わった一年生、遭難くん(笑)こと小野崇がコンビニの店長に言葉の意味を尋ねると、
「相手のためを装いつつも、自分の利益のために成す事」と答えます。
 それを受けての一言。おお、流石は小野くんだ…。
 ナオシは、光彦の気持ちを知らない時はそれと気づかずに(『うらはら』)、知った後(『あつくてつめたい』)は自覚しながら“おためごかし”をしてしまいます。
 何しろ童貞ですし(?)自分で自分の気持ちを整理できなくて、もう一杯いっぱいのぐるんぐるんです(笑)。とても可愛くって思わず笑ってしまいました。
 相手は親より誰より慕わしい幼馴染みで、そりゃぁ相手が女の子なら、ここまで頭フル回転にならないのかも知れませんが、それでも必死に自分の気持ちに向き合います。
 素直で子どもっぽい光彦よりも、常にイニシアチブを握っていたつもりのナオシですが、恋愛に於いては、いつの間にか逆転していたみたいですね。いつまでも子どもは子ども、のままじゃないって事でしょうか…。
 『花いちもんめ』に並んで、草間先生らしい雰囲気のある素敵なお話です。


【余白のつぶやき】***********************
 まあ、私なんか、この子たちの親の年齢です。
 「恋せよ高校生」とエールを送りつつ、もしも、自分がこの子たちの親だったら、どうするんだろうな〜とか、思わず考えちゃう出来事がありまして…。
 自宅マンションのゴミ集積所にごみを出しに行った時の事。そのドアの前で、
高校生のカップル(残念ながら♂×♀)が キスしてやがった〜!!
 別にデバガメでも何でもなくて、オバサン、ごみ出したいのよ!! と強気で真横をすり抜けたものの、すっかりお邪魔虫です。
 後日友人にその話をすると、
「どうする? 自分の子どものキスシーン見ちゃったら…」と聞かれ、暫し考えてしまいました。
 自分にも身に覚えのある事です。反対したって聞く分けないだろうし…。

私 :「う〜ん、机の上にさり気なくコンドームの箱を置いておく」
   (大真面目!)
友人:「そんな親、絶対に厭だ……」

 さあ、みなさんだったらどうしますぅ?
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by apodeco | 2008-09-16 22:49 | BL感想文 | Comments(0)