草間先生、デビュー10周年おめでとうございます! その2

a0095010_184843.jpg先生の作品ではじめて読んだのが、こちらで一番最初に紹介した『はつこいの死霊』。思い起こせば6年前、手に出来た静脈瘤を治療した帰りに買ったんですよ。医者に注射器で患部をぐっさり刺された上に、ぐりぐりほじられて大変痛い思いをしたので、病院の階下にあった本屋さんで草間先生のご本を、自分のご褒美のために思い切って買ってみたのでした。運命ってやつです。きっと。


王様のベッド (ビーボーイコミックス)

草間 さかえ / リブレ出版

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中学生から大人の話まで、かなり毛色の違うのお話が集まってますが、先生の本を初めて読むという方に良いのではないかと思われます。
表題作はガタイのいいエンジニア×取っつきにくい彫刻家のお話。ヘタレだけど優しくて常識人の古賀(ゲイ)は、切れたケーブルの修理のため、かなり変わった無自覚誘い受(?)みたいな、ノンケ彫刻家の遠野の家を訪れますが、大雪のため二人っきりで過ごす羽目になって…。ちょっとコメディ。
山の中の一軒家に一人で住んでるらしい遠野の人柄も、その家の中もとってもミステリアスで、古賀はドキドキぐるぐるしっぱなし。おまけにいきなり身体を「見せて、触らせて」ときたものだから、妖怪の一種かと思ってしまう(笑)。
登場人物にミステリアスな部分があるのは、先生のお話のお約束ですが、ベッドの大きさは…きっと趣味です。遠野の酔っぱらった仕草が、先生の他のキャラと比べても一、二を争う可愛らしさなので一見の価値あり。
他に収録作は二作。『さくらんぼ』はとっても可愛い、餌付け成功のお話。
これこそ毒はひとつもないけれど、淡いどきどき感にやられました…。ひとにものを食べさせるって、やっぱりエッチい行為なんだと思います。
『花』は初っ端から毒だらけ〜。私の趣味ど真ん中です。
やっかい事に自ら飛び込んで行くってのは、相手に対してそれだけ関心があるからです。気になる=全ての始まり。ちょっと痛い話ですが、後味はよいので是非どうぞ。


どこにもない国 (EDGE COMIX)

草間 さかえ / 茜新社

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カバーイラストが奇麗です! こちらも収録作品がビックリするほど毛色が違うので、草間先生の幅の広さをたっぷり味わえるお勧め本でございます。
とは言え、この表題作をご紹介するのは難しいですね。戦争に行った若者の、戦中戦後のお話ですが、この時代独特のストイックな若者が、男同士で惹かれ合う事に対して、どう向き合うかというお話です。
終戦間際の南の島。厳しい隊長の竹内が率いる海軍の一部隊が駐屯していました。その中に、竹内に対して情念を募らせる部下の早川がいて、その想い故にある行動をとるのですが、表向きの理由を知っている竹内ですら「どうしてなんだ」と悩ませてしまう程。そんなある日、突然の敵襲と終戦を迎え、二人は…。
この時代の人は、自分の気持ちをぺらぺら語ったりしないせいか、二人ともがお互いを「わかりにくい」と評しているのが可笑しい。命からがら復員船で帰国して、落ち着いて見ると、竹内は早川を「存外ヒトらしい男」だと思います。島ではやはり変態っぽく見えていたのでしょうね。早川は竹内を「ややこしい人」だと言いますが、島では一杯食わされたので、仕方ありません。
生きて祖国に帰れた事は幸せな事ですが、日常の平安を取り戻すとともに、竹内は早川をいるべき場所へ返してやらなければと焦ります。それは今生の別れを意味します。
二人にとってほんの数日ですが、二人きりで過ごした島での日々がユートビアでした。二人がどうするのかは、読んで確かめてくださいね。
『岸壁の母』って歌、分かりますかね? 息子の帰りを信じて、引揚船が到着するたび探しに行く母親の姿を歌ったものです。私歌えますよ〜。
もっと言うとですね、映画『犬神家の一族』(古い方)で、高峰秀子さんが、「すけきよ〜」って、間違えて青沼静馬を連れ帰っちゃうシーンですね。辛い時代でした。竹内の心情如何ばかりだったか、察してくださいな。今の時代、こういうお話が書けるのは、そうそういないなぁと思うのですよ。

でも、『イロメ』くらいからファンになった、という方には『0と1の間』からの方が、草間先生らしいと思われるかもしれないですね。
私はアホな子が好きなので『1と2の間』が好きです。子どもの頃の出来事って後を引きますからねぇ。『0か1の世界』に至っては、みっちゃんが振り回されて可哀想でしたが、惚れた弱みだ諦めろとしか言いようが無い。鶴田があまりに人生楽しそうなんで、こんくらい前向き(?)に生きられたらいいなと羨ましい限り。
私にも美術学校時代の友人に、みっちゃんって人がいましたが、こちらは明るい人でした。カイト(凧)を作って飛ばしに行く授業があったのですが、丸まった凧糸を使った瞬間芸とか言って、脇の下に当てて「黒木〇!」(脇毛を剃らないAV女優さん)とか、股間に当てて「ダビデ!」とかやってましたね(こちらのみっちゃんは女性)。
三ツ矢もみっちゃんくらいアホだったら、あんなに怖い顔にならずに済んだかも。友人連中で一番まともだったのが敗因か…。
『もののことわり』は古い作品ですが、今とそんなに変わらない、あったかさを感じる作品。好きなんですね、古い物が(『地下鉄の犬』にも通じてますね)。そんでもって、身体ばっかり大きくなった、おばかさんが好きなんだなぁと(笑)。
こちらも、その1で書いたフェアでは対象外ですが、草間先生初心者さんにはお勧めの一冊。鶴田がどんだけ悪女…じゃなくて性悪か、是非確かめて見てください。


最後〜。

魔法のつかいかた (1) (ウィングス・コミックス)

草間 さかえ / 新書館

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冒頭で書いた通り、BLという以前に、今まで読んだどの恋愛ものとも違う、独特な雰囲気にハマって、同人誌も手に入る限り集めました。
その中で一番気になっていたのが、『魔法使いの弟子』という作品なんですが、それを引き継いだのがこの作品です。
内容はタイトルの通り、魔法使いの話です。ファンタジーです。魔法の腕は一流だけど、いろいろと駄目駄目な魔法使いの泉太郎が、探しものの魔法でみつけた春生を弟子にする(誘拐ともいう)ところからお話は始まります。
一巻目は、ほぼ同人誌の内容に添っています。“毒”の部分は中和されてまして…まあ、その辺はもう仕方ないです。続きが読める事が単純に嬉しいから良しとします。
とにかく謎だらけなお話なんで、これから一つ一つ、謎が解明されて行くのを楽しみに、続きを待ちたいと思います。

【余 談】
a0095010_1151538.jpgMy Favorite Words 
『魔法使い』



ファンタジーものは読めないくせに、魔法、特に魔女とか、悪魔が出て来ると目の色が変わってしまいます。『魔法のつかいかた』には悪魔は出て来ないけど、人の生き死にが魔法で操られるので充分悪魔的。
私が初めて魔法使いものに惹かれたのは、山田ミネコ先生の『魔法使いの夏』という作品を読んでから。40年くらい前のデラックスマーガレットに掲載された読み切りもので、それ以来の山田ミネコファンです。
お話は、魔法好きな女性が、魔法使いを探してある村に行って、行方不明になってしまうところから始まります。女性の妹(主人公)は、姉を捜してその村へ向かい、姉がいた痕跡を見つけるのですが、その村を拠点にしている魔女によって、サバト(魔女の集会)の生け贄にされ亡くなった事を知ります。当然、彼女も生け贄に捕まっちゃう。
村人も全員ゾンビで、魔女がいないと土に帰っちゃうから、魔女のいいなり。でも、その魔女の弟(もちろん人じゃない)に救われるお定まりのお話なんですが、それでも充分面白くて、切ない話でした。
弟は長い間、何の罪も無い女性たちを生け贄にして、自分たちが生きながらえる事に耐えられなくなってましたし、主人公に淡い想いを抱き始めていたので、自分の命をかけて彼女を救います。当然、彼は砂みたいに消えていなくなるのですが、彼女を救えた事に満足して死んでいくのです。
この話、オチがあるんですよ。それ以来、悪魔が主人公の家に住みついちゃうんです。でも、それで何となく救われるのが妙におかしな話でした。
その山田ミネコ先生に、コミケで会えた時は感激しました。もちろん、ファンですって、ご挨拶しましたよ。そういう出会いがあるんですよ、コミケって!
山田先生、60歳は越えてらっしゃると思うのですが、お元気でコミケに出てらっしゃるんですよ! がんばらなくちゃ〜と思いますよ。ええ。
私もいつか、魔女やら魔法やらが出て来る話を書いてみたいと思います。
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by apodeco | 2012-10-07 00:26 | BL感想文 | Comments(0)