愛があれば…? 木原音瀬—『NOW HERE』

 お久しぶりで〜す。毎日暑い日が続きますが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか? うかうか3ヶ月もご無沙汰してしまいました。夏コミも終わってしまい、今年の夏は既に終了状態です。
 今年のコミケは大収穫で、満足な一日でした。友人曰く、「お金を出すときに戸惑いがなくポンポン買ってた」そうですが、それくらい良い作品に出会えましたのよ♪(もちろん自制しましたよ…あとでご紹介します)

 私はこの間、貧血の治療を始めたり、老眼になったり(これが一番ショックでした〜〜。手元が見えづらく眼鏡買い換えました…)、仕事面では派遣のお仕事を切られたり……と、ついてない事続きでした。
 幸い、すぐに別の職場でのお仕事が見つかりましたが、今の職場は色々やらされて大変です。新しい環境に慣れるのに時間がかかりますし、今までがのんびりした職場でしたので、現在脳みそフル回転でてんてこ舞いです。まあ、スキル的には上がるかなぁと思うので、頑張ってみようと思っています。
 ブログの更新は間が空いてしまうかと思いますが、こちらも頑張って続けていきたいと思っていますので、気長にお付き合いくださいませ。

 さて、終わったと言いつつ、まだ夏休みは残っています。夏休みと言えばBL感想文ってことで……、木原音瀬さんの『NOW HERE』です。
 相変わらずもの凄いお話でございまして、お勧めしがいのある作品です。

NOW HERE (Holly NOVELS)

木原 音瀬 / 蒼竜社

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 福山が目覚めると隣にみすぼらしい中年の男が眠っていた。酒に酔っていて、まったく覚えていないのだが、どうやらお持ち帰りした上に、しっかり“いたして”しまったらしい。しかもよく見れば、相手は勤め先の経理部の部長、仁賀奈(にがな)正敏、五十歳
 最悪だと思いつつ、お互い冷静に話をしてみると、仁賀奈はその年まで童貞で女性はもちろん男とも付き合ったことがないという。初心で化石のような男が新鮮に感じた福山は、面白半分で仁賀奈と付き合い始めたが……。


 酔っぱらって記憶がぶっ飛んでいる間に、下手をすると自分の親くらいの年齢の方と……あり得るようなあり得ないような馴れ初めです。
 どんなに大酒飲んでも記憶が飛ばない私としては、「したかったからしたんだろーが!」と思うのですが、福山にはまるっきり覚えがない。酷い男です。世界の中心は俺様的思考の持ち主です。はじめはそう思って読んでいたのですが……
やっぱり木原先生です、えっ、ええ〜?な展開になります(笑)。




 私は同人誌でこのふたりのその後を先に読んでしまったので(他の話の後日談が知りたくて買ったのですが、こっちのお話の方が強烈で…)、当然本編に興味を持った訳ですが、そうでなければ買えなかったかも。
 挿絵は鈴木ツタ先生で、すごく綺麗なんですよ。でもね……ジャケ買いはできなかったと思います。自分でもレジに本を持って行きながら“勇気あるなぁ、自分…”と思いましたもの。
 あとがきに、木原先生はプチ銀色世代の「グタグタした駄目おじさま」に惹かれると書かれていましたが、グタグタにも程がある〜〜!と思いました。まあ、仁賀奈の描写、徹底してますよ。私は
「五十歳はここまでおじさんじゃな〜い!」と思いますし、思いたい…。
 前半は自惚れの強い浅はかな若造、福山に好いようにされてしまう仁賀奈が哀れで憤りを感じましたが、次第に仁賀奈に惹かれていく福山は、何のことはない本気で人を好きになった事のない、仁賀奈に負けず劣らず恋愛初心者なのね…と分かった時には形勢逆転。
 後半は否という程しっぺ返しを食らいます。それはそれは小気味好〜いくらいなのですが、終いにはさすがに可哀相になりました。
 イタいですよ〜〜(笑)。いつもながらドキドキします。

 このお話で私が考えた事は、やはり「老い」「若さ」についてです。
 老眼になったりして老いを強く意識する身としては、福山よりも仁賀奈側に立ってしまいます。前半の福山の考えは、かなり辛辣だけれど、世間一般の“若い人”が“老いた人”に対して抱く普通の考えだと思います。でも、ここまで高飛車で残酷に考えられるものなのかと、ちょっと恐ろしくなりました。
 私にも身に覚えがあります。まだ子供だった頃、“老人は恋はしないもの”だと決めつけていたし、恋をするなど気持ちが悪い(本当に失礼!)と思っていましたが、それが若さ故の驕りだと気づいた時には、自分もすっかり老域に片足を突っ込んでいた訳です。もう苦笑するしかありません。
 人は誰でも年を取るものですが、今日は昨日と変わりなく、明日もきっと今日とそれほど変わらないものでしょう? 埃のように降り積もる老いの変化に気づいた時には、すっかり若さを失っている。そんなものだと思います。
 いいように翻弄されてどうしていいか分からない仁賀奈の曖昧な態度が、福山を助長していたのも確かです。でもねぇ、いくら惚れられても、もともと人生に起伏を求めない性格の人ですから、こんな激しい恋愛は当人にとって幸せなのかどうなのか……?
 年齢というよりは、温度の違いがなんだなぁと思いました。その恋愛の温度差を如何に福山が乗り越えるのか……は読んで確かめてくださいね。
 リアルに想像すると「ゔわぁ〜〜」と思いますけど、人間は幾つになっても人を愛する生き物なんだと、ちょっといい気分になれますよ。


a0095010_22542870.jpg さて、もう一つご紹介したいのが、
同じく木原先生原作の漫画『恋について』です。

恋について (プラザCOMIX Hollyシリーズ) (プラザコミックス)

大竹 とも / 蒼竜社

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 小説はもちろん文句なく面白いです。恋愛萌え度は低いかも知れませんが、私はすごく好きなお話です。主人公の仕事と恋愛二本立ての成長もので、なんでこうなるの? の連続なんですが、この精神的痛みが堪りません(マゾかも…)。
 この作画をされた大竹とも先生の同人誌「教科書と彼」をコミケで買ったんです。これがすご〜く良かったんです!
 こちらも、機会が御座いましたら是非、お手に取っていただきたいです。
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by apodeco | 2009-08-23 23:09 | BL感想文